オフィスネットワークの構築や更新を検討している企業の担当者にとって、導入時の判断は難しいものです。接続環境を整えるうえで重要な判断材料となるのが、実際にかかる費用、工事の進め方、そして将来のトラブルを防ぐための施工ポイントを事前に把握することです。
社内ネットワークを整備する際、多くの企業が最初に直面する課題は「どの業者を選び、どれほどの予算を確保すべきか」「配線図がないまま進めて手戻りが発生しないか」という点です。LAN配線工事は建物の規模や既存設備の状況によって大きく変わるため、適切な事前準備が不可欠となります。
この記事では、LAN配線工事の基本や費用相場、業者選びのポイント、失敗しないための注意点をまとめてご紹介します。
こんなお困りごとはありませんか?

オフィスで複数のパソコンやプリンター、サーバーを接続するには、物理的なケーブルと通信機器が必要です。社内LAN配線工事とは、これらの機器をつなぐケーブルを建物内に配置し、ネットワークの基盤を構築する作業を指します。
具体的には、壁の中や天井裏を通してCAT6やCAT6Aといった通信ケーブルを敷設し、各フロアやオフィス内の複数地点にコンセント型の接続口やHUBを設置します。
単にケーブルを引くだけではなく、配線の経路選定、接続品質の確保、美観や将来の拡張性への配慮も含まれます。
適切に施工されたLAN配線は、長期間にわたって安定した通信環境を提供する基盤となります。企業の業務効率を左右する重要なインフラストラクチャーなのです。

テレワークの普及やクラウドサービスの活用が進むなか、企業内のネットワーク環境への要求は急速に高まっています。無線LANだけで対応しようとしても、接続の不安定性やセキュリティリスクが常について回ります。
配線図がないまま場当たり的に作業を始めると、後から機器増設に対応できず、手戻りが増えてしまいます。「朝の始業直後だけ回線が遅い」「オンライン会議中に途切れる」「特定のグループだけ通信できない」といったトラブルの多くは、配線の乱雑さやケーブル同士の干渉が原因です。
専門業者による有線ネットワークの構築を行うことで、通信の安定性を確保し、大容量ファイル転送やビデオ会議も快適に行えるようになります。
ネットワーク環境を整備する際、有線と無線のどちらを選ぶかは多くの企業で悩みの種となります。両者にはそれぞれ異なる特性があります。
。有線LANの最大の利点は通信の安定性と速度です。
電波干渉の影響を受けず、サーバーや大容量データのやり取りが多い部門(会計端末や生産管理端末など)には有線接続が適しています。
一方、無線LANはケーブル敷設が不要で、レイアウト変更時の柔軟性が高いため、モバイル機器やフリーアドレス環境に向いています。
実際の運用では、固定デスクは有線で安定性を確保し、モバイル機器は無線で柔軟性を実現するハイブリッド構成が最も効果的です。
もし「今の社内ネットワークがなんとなく遅い」と感じている場合、配線や端末以外に以下のようなボトルネックが潜んでいるケースが多く見受けられます。
工事を発注する前に、どの程度の費用がかかるのかを把握することは予算計画の立案に欠かせません。配線工事の料金体系は業者によって異なりますが、一般的には配線の総延長距離と工事の難易度によって決まります。
古い規格の配線が残っている場合の撤去や交換費用、ケーブルの規格、接続機器の数なども見積もりに影響するため、詳細な現地調査が重要です。複数の工事業者から見積もりを取り、内訳を比較することで適切な予算配分が実現します。
1階フロアだけにパソコンやプリンターを配置する場合、工事内容はシンプルになり施工期間も短く済みます。
一般的な10~20坪程度のフロアで、5台から10台のPC等を接続する場合、配線工事の相場は15万円から30万円程度(構成による)となります。床面への露出配線であれば最も費用を抑えられますが、壁内や天井裏に隠蔽配線する場合は10万円程度の追加費用が生じることもあります。
下記のように、1つのグループ毎にHUBを設置し、PC等を接続する場合など、レイアウトにより異なります。

建物の複数階にわたってネットワーク環境を構築する場合、専用の配管やケーブルラックが必要となり、費用は大きく上がります。
2階建てのオフィスで各階に10台程度のパソコンを接続する場合、一般的には30万円から50万円程度の予算が必要です。3階以上になると、配線経路の設計が複雑になるため、50万円を超える案件も多くなります。床や壁の貫通工事、防火対策、振動防止措置などの追加工程が発生するためです。
既存建物に新規にLAN配線を追加する場合、配管に余裕がなく通信が困難になるケースもあり、不要ケーブルを撤去してスペースを確保して通線する等の作業が必要になることもあります。
実際の通信を実現するには、LANケーブル、スイッチングハブ、ルーター、コンセント部分のジャックなど、様々な機器や細かな機材が必要になります。
スイッチングハブは接続台数に合わせてポート数を選ぶ必要があり、ハブの品質によって通信速度が左右されます。これらの機器費用は工事費全体の30~50パーセント程度を占めるケースが多いため、見積もり時に詳細な内訳を確認することが重要です。
配線工事の成功を左右する最も大きな要因は、パートナーとなる業者の選定です。電気通信工事の資格や過去の実績だけでなく、対応の丁寧さやサポート体制を比較検討しましょう。
信頼できる業者は、初回相談時から詳細な現地調査を行い、天井裏の構造や既設配管との干渉を丁寧に確認します。図面だけで概算を出す業者や、現地調査を行わない業者には注意が必要です。
また、施工後にネットワーク構成図をきちんと提出してくれる業者を選ぶことも大切です。
ネットワークを可視化する図面があれば、トラブルが発生した際にも状況が把握しやすくなり、自社でのスムーズな確認や業者への依頼がしやすくなります。 図面をもとにしっかり説明してくれる誠実な業者を選ぶことが、長期的な安心につながります。
「工事一式」といった曖昧な表記の見積書には注意が必要です。材料費と施工費が明確に分けられ、どの部分にいくらかかるのかが記載されているかを確認しましょう。
また、万が一の通信トラブルが発生した際に、スポットで迅速に対応してもらえる窓口があるかといったアフターフォローの体制を確認しておくことも、長期的な安心につながります。
ある企業様では、通信業者から「ネットワーク環境を高速化するため、LANケーブルをCAT6へ交換しましょう」と提案を受け、社内のLANケーブルを一斉に交換されました。
しかし工事後に確認したところ、LANケーブル自体はCAT6規格のものが使用されていた一方で、両端に取り付けられたLANプラグ(コネクタ)はCAT5用のままでした。
LAN配線は、ケーブルだけを高性能なものに交換しても、プラグ・ジャック・パッチパネル・施工品質など、構成する部材や接続方法が適切でなければ、本来の性能を発揮できません。
今回のケースでは、CAT6対応の配線工事として期待された性能を十分に活かせない状態となっていました。
LAN工事では、「どの規格のケーブルを使うか」だけでなく、建物内の配線経路、接続部品、通信速度、将来の増設計画まで含めた設計・施工が重要です。
見た目では分かりにくいLAN配線だからこそ、規格や施工内容を正しく確認できる専門業者へご相談ください。
工事が円滑に進むためには、各段階でのプロセスをあらかじめ把握しておくことが大切です。
まずはオフィスの規模や部門数、利用端末の台数、将来の拡張予定を整理します。その情報を元に業者が現地調査を行い、配線ルートの選定や最適な施工方法を検討した上で正確な見積書が提示されます。
工事当日は、天井裏や床下を通したケーブルの敷設、パッチパネルの設置、接続点の処理(コネクタ加工や配線整理)が順序立てて進められます。
施工完了後は、全端末からの通信確認や速度測定などの検証テストが実施され、問題がないことを確認して引き渡しとなります。
コスト削減ばかりに意識が向くと、今後5年以上使用するネットワークインフラの質が低下してしまいます。基本的な注意点を押さえておきましょう。
工事業者とのやり取りを円滑にするには、社内の現状と配線図を事前に整理しておくことが欠かせません。どのケーブルがどの機器へつながるかを図面で管理しておくと、将来の障害時やレイアウト変更時の追跡がスムーズになります。
また、今後増設する可能性のあるエリアや機器台数を想定し、あらかじめ余白を持たせた設計にすることで、後々の追加工事を最小限に抑えられます。
配線作業では、ケーブル規格(CAT6やCAT6Aなど)を極端に混在させないことが大切です。また、電源配線と通信ケーブルを離して敷設する、ケーブルの取り回しに配慮するといった基本的な施工マナーが、通信品質の安定に直結します。施工後は、専用のテスターで通信テストを行い、確実に接続できていることを確認してから運用を開始します。
また、LAN工事と併せて見落としがちなのが「コンセントの数」です。パソコン、モニター、プリンタなど、昨今のデスク周りは多くの電源を必要とし、各席最低でも3口以上は確保しておくのが理想です。 注意が必要なのは、配線が足りないからといって安易にタコ足配線をしてしまうことです。 これは通信トラブルや火災の元にもなりかねません。
当社ではLAN配線と同時に電気工事(コンセント増設など)も一貫して対応可能です。
ネットワークと電源をセットで最適化することで、トラブルのない快適なオフィス環境を実現します。
オフィスや店舗のネットワーク構築において、どのLANケーブルを選ぶかは通信の安定性を左右する重要なポイントです。LANケーブルの規格は主に「通信速度(最大速度)」「伝送帯域(周波数)」「ノイズ耐性(シールド構造)」の3点で異なり、数字が大きくなるほど性能が高くなります。
各規格の特徴を正しく理解し、用途に合ったケーブルを選ぶことで、将来的な速度低下やトラブルを防ぐことができます。
現在一般的に使用されている4つの規格について、それぞれのスペックと特徴を比較します。
| 規格名 | 通信速度 | 伝送帯域 | 主な特徴・向いている用途 |
|---|---|---|---|
| Cat5e (カテゴリ5e) |
1Gbps | 100MHz | 昔からの標準規格。通常のネット検索や動画視聴なら問題ありませんが、高速回線では物足りなくなります。 |
| Cat6 (カテゴリ6) |
1Gbps | 250MHz (Cat5eの2.5倍) |
速度は1Gbpsですが、帯域が広くノイズに強い。複数台の端末を同時に使う環境向けです。 |
| Cat6A (カテゴリ6A) 現在の主流・おすすめ |
10Gbps (Cat6の10倍) |
500MHz (Cat6の2倍) |
10G光回線に最適で、長距離でも速度が落ちません。ノイズにも強く、現在のオフィスや家庭の主流・おすすめ規格です。 |
| Cat7 (カテゴリ7) |
10Gbps | 600MHz | 医療現場や工場などの業務用。強力なノイズ対策がされている反面、アース接続(接地)が必須であり、一般環境の機器には不向きです。 |
「より性能が高いほうが良いだろう」と考えて、ついCat7を選んでしまいたくなるかもしれませんが、オフィスや一般的な建物において、現在最も安心で実用的な選択肢は「Cat6A(カテゴリ6A)」です。
Cat7は本来、医療現場や工場といった強力な電磁ノイズが発生する特殊な業務用として設計されています。そのため、適切にアース接続を行わないと、逆に周囲のノイズを拾って通信が不安定になるリスクがあります。パソコンや一般的なルーター等の周辺機器にはアース端子がないケースも多いため、一般オフィスや家庭ではかえってトラブルの原因になり得ます。
これからのオフィスの高速インターネット環境(10G回線など)や、将来的なデータ容量の増加を見据えても、ノイズに強く長距離配線でも速度が落ちないCat6Aで統一・構築するのが最も確実な選択となります。
オフィスのネットワーク環境を快適にするうえで、LANケーブルの性能だけでなく、元となる光回線の速度プランを正しく把握することも重要です。フレッツ光などの速度プランには主に200Mbps、1Gbps、10Gbpsがあり、技術規格上の最大速度や適した用途が異なります。
現在の主流は1Gbpsおよび超高速な10Gbpsとなっており、古いプランでは200Mbps(ハイスピードタイプ等)が提供されていました。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
回線プランごとの最大速度と、実際のオフィスで求められる用途の目安は以下の通りです。
| 速度プラン | 最大速度(規格上) | 主な特徴・適した用途 |
|---|---|---|
| 200Mbpsプラン | 概ね200Mbps | 旧来のプランです。Web閲覧やメール中心なら使えますが、現在の高画質動画や大容量通信には物足りない場合があります。 |
| 1Gbpsプラン (ギガラインタイプ等) 現在の一般的な標準 |
概ね1Gbps | 標準的な高速プランです。ネット検索、動画視聴、日常的な業務やオンライン会議など、多くの企業で広く使われている十分な速さです。 |
| 10Gbpsプラン (フレッツ 光クロス等) これからの主流・超高速 |
概ね10Gbps | 最先端の超高速プランです。大容量データの送受信、クラウドの活用、複数人での同時利用が重なるオフィス環境に向いています。 |
企業内のWi-Fi環境を確認すると、家庭用のWi-Fiルーターやアクセスポイントをそのまま業務用として使用されているケースが少なくありません。
家庭用機器は、一般的に数台程度のパソコンやスマートフォンを接続することを想定して設計されています。
そのため、社員のパソコン・スマートフォン・タブレット・プリンター・複合機など、多くの機器が同時に接続されるオフィス環境では、通信が遅くなったり、接続が不安定になったりする場合があります。
「インターネット回線が遅い」と感じていても、実際にはWi-Fi機器の処理能力や同時接続台数が原因となっていることもあります。
法人向けのアクセスポイントに変更することで、多数の端末を安定して接続できるようになり、通信速度や接続の安定性が大きく改善する可能性があります。
また、電波の届きやすさやセキュリティ、来客用Wi-Fiの分離など、業務利用に必要な機能を備えた製品も多くあります。
Wi-Fiが遅い・つながりにくいと感じたら、回線だけでなく、現在使用しているWi-Fi機器や設置環境の見直しもおすすめします。
光回線を導入・変更する際や、パフォーマンスを最大限に引き出すためには、以下の3点に注意する必要があります。
NTTの「フレッツ 光クロス」をはじめ、10Gbps対応の光回線サービスが普及してきています。
一方で、実際のオフィス環境では、光電話とインターネットを1Gbpsの回線1本で共用しているケースも多く見られます。
この場合、クラウドサービスの利用、オンライン会議、大容量ファイルの送受信、複数端末による同時接続などが重なると、通信が混雑し、インターネットが遅く感じられることがあります。
そこで近年増えているのが、電話用回線とインターネット用回線を分ける構成です。
・光電話用:1Gbps回線
・インターネット用:10Gbps回線
インターネット専用回線を10Gbpsへ変更することで、日常的なWeb利用はもちろん、クラウド業務、動画会議、データ共有などをより快適に利用できる可能性があります。 また、電話とインターネットを別回線にすることで、万が一どちらかの回線で障害やトラブルが発生した場合にも、「電話もインターネットも同時に使えない」というリスクを軽減できます。業務停止の影響を抑えるための対策としても有効です。
回線の契約内容や利用状況、社内ネットワーク機器によって最適な構成は異なります。NTTをはじめ、複数の通信キャリア・サービスを取り扱う事業者であれば、現在の利用状況を確認したうえで、電話・インターネットそれぞれに適した回線プランをご提案できます。 「回線はつながっているのに遅い」「電話とネットの障害リスクを分けたい」とお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
社内のネットワークを長く安定させるには、配線工事を単なる作業として終わらせず、運用を見通して計画することが大切です。
施工前の現地調査から見積もり、工事実施、そして完了検査に至るまで、各段階での確実な確認が品質を左右します。複数の業者から提案を受け、その内容を慎重に検討したうえで最適なパートナーを選択することが成功への近道です。
オフィスや店舗のネットワーク構築、LAN配線工事、Wi-Fi環境の整備などでお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。状況に合わせた適切なプランをご提案いたします。
「今の回線が遅い原因が分からない」「10G回線に切り替えたけれど社内配線が古いままかもしれない」といったお悩みも、現地調査や環境の診断からサポートいたします。お気軽にご相談ください。
当社はNTT正規代理店として、LAN配線工事だけでなく、フレッツ光をはじめとするインターネット回線のお申し込みからプロバイダの手配までトータルでサポートしております。
「これから新しくオフィスを開設する」「古い回線を10Gbpsに切り替えたい」といったご相談をいただければ、回線環境の構築からLAN配線工事まで、窓口を一本化してスムーズに進めることが可能です。

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